【ネタバレあり】映画『溺れるナイフ』は、我が青春を振り返り心乱される映画だった。
2004年から2013年にかけて講談社「別冊フレンド」に連載され、洗練された世界観と、リアルな心理描写で熱狂的に愛され続ける少女マンガ「溺れるナイフ」が待望の映画化!
今旬な人、小松菜奈、菅田将暉のW主演に加え、重岡大毅(ジャニーズWEST)、上白石萌音というキャストで期待大!!公開を待ちわびていました。
何度も映画館に足を運ぶ女子がいると話題の本作、私も見てきたので感想含めて、紹介させていただきます♪
※以下、ネタバレ含みます
溺れるナイフ コミック 1-17巻セット (講談社コミックスフレンド B)
- 作者: ジョージ朝倉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/02/13
- メディア: コミック
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あらすじ
15歳の夏。東京から遠く離れた浮雲町に越してきた、人気モデルの望月夏芽(小松菜奈)。
退屈でウンザリするようなこの町で、夏芽は体を貫くような“閃光”と出会ってしまう。それは、コウと呼ばれる少年・長谷川航一朗(菅田将暉)だった。
傲慢なほどに激しく自由なコウに、反発しながらも、どうしようもなく惹かれてゆく夏芽。コウもまた、夏芽の美しさに対等な力を感じ、やがてふたりは付き合いはじめる。「一緒にいれば無敵!」という予感に満たされるふたり。しかし浮雲の夏祭りの夜、全てを変える事件が起きるのだった―。
失われた全能感、途切れてしまった絆。
傷ついたふたりは、再び輝きを取り戻すことができるのか。未来への一歩を踏み出すために、いま、ふたりがくだす決断とは―。
気高く危うい10代の破裂しそうな恋と衝動を描いた、誰も出会ったことのないラブストーリーが誕生した。
キャスト
スラリと長い手足と端正な顔立ちの美少女。
ティーンモデルとして絶頂期に田舎へ引っ越すことになり、自分が欲する「何か」から遠ざかってしまったと落ち込んでいたが、人を寄せ付けない雰囲気をもつクラスメイトのコウと出会い強烈に惹かれていく。普段は言葉数が少ないタイプだが、時に感情的になることも。コウを「わたしの神さん」だと信じて特別視している。
長谷川航一朗役:菅田将暉
切れ長の目にまばゆい金髪、容姿端麗で独特の雰囲気をもつ夏芽のクラスメイト。先祖代々その土地を守る神主一族・長谷川家の跡取り息子。勝手に授業を抜けたり、「神様がいる」立ち入り禁止の海に入ったりと、その行動は気まぐれで傍若無人。人生に退屈していたが、夏芽の類まれな美しさに自分と同じ特別な力を感じて、惹かれていく。
大友勝利役:重岡大毅
クラスのムードメーカー的存在で、真面目で心やさしい少年。夏芽とコウの中学時代のクラスメイトで、コウの幼馴染であり、夏芽とは同じ高校に進学した。ある事件以降、心を閉ざしてしまった夏芽を心配してそっと寄り添ううちに、いつしか想いを寄せていく。
松永カナ役:上白石萌音
小柄で地味なクラスメイト。モデルだった夏芽の大ファンで、転入してきた彼女を何かと気にかける世話焼きな一面も。コウの幼馴染みでもあり、ずっと想い焦がれてきたが、憧れの2人が惹かれ合っていると知り、「夏芽ちゃんとコウちゃんは特別じゃ」と思い込み神聖視するようになる。高校入学後は化粧を覚えてぐっとあか抜け、夏芽をライバル視する。
出典:http://gaga.ne.jp/oboreruknife/about/
原作未読の20代女としては、我が青春を振り返り、心乱され、それでいて美しい映像と素晴らしいキャスト陣のおかげで大満足だった。
◼︎ストーリーについて
私は予備知識なしで映画を観るのが好きなので、はっきり言ってどんな映画なのかわからずに映画館に向かいました。わかっていたことは、『キャストが今売れっ子の小松菜奈ちゃんと菅田将暉くんのダブル主演、ジャニーズWESTの重岡大毅くんに、映画ちはやふるに出ていた上白石萌音ちゃん』だということと、『ピース・オブ・ケイク作者の朝倉ジョージ原作である』ということくらい。明るいというより、ちょっとドロドロしたような作品なんだろうなーくらいの知識でした。
私は、結論からいうと大満足。最初から最後までこの映画の世界観に引き込まれ、キャラも魅力的に感じました。なんと言ってもキャスト陣がかなりよかった。
そもそも朝倉ジョージさんの作品は、今まで『ピース・オブ・ケイク』を読んだことがありますが、独特の世界観があり、人間の奥底にある悩みとか苦しみとか本音とか、それでもまっすぐな思いを表現される方だという印象を持っていました。この『溺れるナイフ』は原作はコミック17巻ということで、なかなかの長編。9年間連載されていたものを2時間におさめるのはなかなか難しい。原作ファンにとっては、期待を裏切られているのかもしれないし、私は原作を読んでいないからその気持ちに対してはわかりませんのであしからず…
評判をみると賛否両論分かれていて、人によって感じ方が変わる映画なのかもしれません。それはいい意味にも悪い意味にも取られますが、作品全体が説明はいらない。感じろ!って感じ。衝撃的に人に惹かれる雷のような感情とか、自分がおかしくなるほどに人を愛して激しく狂う嵐のような感情とか、突然自分のちっぽけさや薄っぺらさにむなしくなる冷たい雨のような感情とか、予想外に暖かくて眩しい太陽のような感情とか、なんかそんな未完成な10代の喜怒哀楽が表現された作品だと思いました。「あー、あったあった」って自分の青春を振り返りました。いろいろと経験をして、年齢を重ねた今だからこそ、映画の魅力に気付けたのかもしれないとも思いました。
少し前に『自分の20歳のころを思い出したら、まさに恋に溺れていた 』という記事で書いたのですが、私は恋に溺れて狂った経験があります。(今思えばバカだなー、若いなーと思えるのですが…)当時の私は、主人公の夏芽のように、彼に対してコウのように特別な魅力を感じていて、全能感を抱いていました。そして馬鹿みたいに本気で、自分との運命を信じていて、離れても離れても引き寄せられるような存在だと思い込んでいて。夏芽とコウのように美しい関係ではないけれど、どんなに彼が荒れていてダメになっても、私には彼がいればそれでよかったし、自分がどんどんダメになっていくことがわかっても、自分の夢をなげうってでも、一緒にいたいと思っていました。映画の内容とリンクする部分があったんです。そして、別れてしまっても心のどこかで色褪せない思い出として残っているような感覚があったからこそ、この映画の世界観があまりにも美しく、なんか「ありがとう」とも勝手に思ってしまいました。だから、キャラの気持ちとか、本編では説明されていない部分も多いのですが、自分の記憶で勝手に作り込んでしまっていたのかもしれません。確かに、自分がその経験をしていなかったら、全く作品の意味がわかっていなかったかもしれない(笑)
◼︎キャストについて
キャストについて、ちょっと語ってみたいと思います。(映画鑑賞後、コミック3巻まで読みました。)
まずは夏芽役の小松菜奈ちゃん。この子は本当に美しいですね。身体もすらっと長くて細くて、透き通るように白くて。それでいて目には独特の力と、全体から溢れ出るオーラが魅力的ですね。こんな子が恋のライバルだったら、いやー諦める!でもこの夏芽役を演じれるのは彼女しかいないんじゃないかと思うほど、ハマっていたと思います。やっぱりモデル出身だけあって、ふとした表情とか度肝抜きました。写真集を取るシーンとか、なんか美しすぎて…溜息でました。コウといるときの強気な顔と、大友といるときのすこし和らいだ顔の違いがとても印象的でした。
そしてコウ役の菅田将暉くん。なんでも手に入る全能感漂う雰囲気、めちゃめちゃでてました。かっこよかった。ただ、彼女を守れなかった無力さで、かなり荒れましたね。この部分は原作ではもっと感情の描写が細かいのかなーとも思います。でも男の子って強がってるけど結構弱くて、弱い自分を隠そうとして逆に荒れて強く見せたりすんのかなーとも思いました。大切な人を守れないって、自分のプライドとか今までの自信とかがぐっちゃぐちゃに砕かれてかなり堪える体験だったんだと思います。その部分がすごくすごく切なかった。
次に大友役の重岡大毅くん。個人的に結構好きなので贔屓目でみてしまうけど、かなりよかった!大友の明るさや優しさが、ドロドロな映画の中で唯一の救いでした。絶対、大友のような人と付き合った方が幸せなんだけど、若いころって刺激的なコウみたいな人を追いかけたくなっちゃうんですよね。わかるなー。風邪引いた夏芽をお見舞いにいくシーンは、キュンキュンして仕方なかった。ピュアすぎて、まっすぐで、意外と男らしい大友が私は好きだ。カラオケのシーンは最初「まじか」と思ったけど、「しかもフルコーラスか」と思ったけど、優しさ溢れる切ない場面でジーンときました。かっこいいとか、かっこ悪いとか、関係ないんだよね。
そしてカナ役の上白石萌音ちゃん。最初かなりダサい感じだったけど、高校デビューを果たし垢抜ける感じがリアルだった。そして、笑っているようで笑っていない目とか、いい子ぶってるけど裏で何考えてるかわかんなかったりとか、「女の子ってこうゆうのあるよねー」っていう恐ろしさを感じました。でも映画の中ではあまりカナについては描かれてなかったので、原作ではどんな物語が繰り広げられるのか気になるところです。
サブキャラでいて重要な広能役の志磨遼平さん。本業はミュージシャンとのことですが、すみません勉強不足で知りませんでした。でもこの人がまたアーティスティックなTHE業界人という感じでいい味でてました。夏芽に対して、写真集製作のお誘いをするときの「遠くの世界…みてみたくない?」(正確に記憶してないので、ニュアンスです。)みたいな言い方とかが、魅力的。一般人にとっては眩しく見えたり、「自分でもできるかも」って思ってしまうような魔法をかけられるんですよね。あと印象に残ったのは、芸能活動から離れていた夏芽を再び誘いにくるシーン。大友という彼氏ができて平凡に暮らしてた夏芽を見て、「撮りたいって思って誘いに来たけど、今の君見たら、撮る気うせちゃった。もう一生会うことないね。」みたいな言い方。これもなんか業界人っぽい!自分のことを発掘してくれて、ベタ褒めしてくれて、いつも気にかけてくれてた人からこんな風に言われたら、今の自分を完全否定されているような気持ちになって、心乱されるよね。今の生活を大切にしたい、っていう気持ちと、すべて捨ててでも世界に飛び込みたいっていう気持ちと交差して。なんかアーティスティックな雰囲気がとても、魅力的でした。原作とはだいぶ年齢が違う感じでしたが、全く別物としてイイ!
なんだかんだ、熱く語ってしまいました。
総評
私的満足度 ★★★★☆
人それぞれの感覚って違うけど、それはそれでいいと思います。私は単純に好きだった!!ただそれだけ!!
今だから思えるけど、若いときは、もう狂ってしまうくらい何かに熱中するって素晴らしいことだと思う。恋でもいいし、部活でもいいし、ゲームでも遊びでもなんでもいい。たとえ当時苦しくてしんどくて、胸が張り裂けそうでも、結果、年月が経てば笑い事になったり、糧になったりすると思うんです。激しく感情が乱れていた当時を思い出すことができた、そんな映画でした。
私はもう一回観るかもしれないし、DVDが発売されたら購入しようとも思う。それくらい久々に好きな作品でした。原作も読んでみたいと思います。大人買いするぞ!
おしまいっ
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